インターネット(Twitter)上に見られる在日コリアンへの差別言説の計量分析と、大学生を対象とした質問紙調査の2部構成から成る。個々の研究の分析の精度は(おそらく)高く、研究間のつながりも意識的に書かれているのでわかりやすい。おそらく結果的には副次的な成果なのだろうが、インターネットの利用方法や友人・友人の友人に在日コリアンがいることなど、レイシズムを軽減する効果があることが示されているのが興味深い。
博論をもとにした書籍ということなので、些末な点ではあるが文章の重複が見られる箇所がいくつかあったのが気になった。また、これは計量研究の性質なのかもしれないが、せっかく堅実な結果を出して面白い論点も見られているのに、国内外のレイシズム研究との理論的な接続があまり見られない点は勿体無い。が、刺激的な結果が数多く示されているので、筆者の今後の研究に期待したい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
心理学
- 感想投稿日 : 2018年10月30日
- 読了日 : 2018年10月30日
- 本棚登録日 : 2018年10月30日
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