本書では「ネット右翼」(本書では「ネット右派」)の源流を1990年代に求めている。当時はインターネットが無かったため出版メディアの保守論壇で論じられてきたことが、「ネット右派」にどのように引き継がれていったのかを5つのアジェンダと6つのクラスタを指標としてきれいに整理している。いわゆる「ネット右翼」という言葉で連想されるような事象、とくに2010年代以降のことは本書では扱われていないので、それを期待して読むと少し肩透かしをくらうかもしれない。実証性が高いというわけでもなく、「そう断じるには論拠が手薄なのではないか」と思う箇所が無きにしも非ずだが、「ネット右翼」がどういう流れのなかで出てきたのかのひとつの見取り図として参考になると思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
社会学
- 感想投稿日 : 2020年1月15日
- 読了日 : 2020年1月15日
- 本棚登録日 : 2020年1月15日
みんなの感想をみる