フルシチョフがメディアに愛称で呼ばれはじめ、ノーベル賞に推されたパステルナークに対する弾劾キャンペーンが繰り広げられ、ソ連とアルバニアの関係が冷えてゆく時代のモスクワに留学したアルバニア人作家が体験した文壇と政治の様相。凡庸な老人となった御用作家たち、凡庸な鬱屈と挫折を抱える自治共和国の若手エリートたち、凡庸な乱痴気騒ぎと凡庸な恋と監視社会の凡庸・・・とを、主人公が拠り所とするアルバニアの古伝説が、かろうじて神話的な体裁に昇華する。その「かろうじて」の暗澹。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
本・雑誌
- 感想投稿日 : 2009年2月21日
- 読了日 : 2006年9月16日
- 本棚登録日 : 2009年2月21日
みんなの感想をみる