愛する源氏物語 (文春文庫 た 31-7)

著者 :
  • 文藝春秋 (2007年4月10日発売)
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本棚登録 : 458
感想 : 46

源氏物語の解説書の中でも、とても好きで何回も読んでいる本です 
(この度再読したのですが、再読記録の方に記入してもブクログのタイムラインには載らないんですね 感想を記入したかったので、再読ですがこちらに書きます)

源氏物語の作中に登場する和歌は実に795首におよび、それをひとりの作者が登場人物に成り代わり、詠んだことは実に驚異的であり、和歌をひとつひとつ読み解くことで、複雑な内面や物語の展開に与えた影響をより深く、面白く、感じることができるんだよ! という源氏物語の解説本として、とってもオススメの作品です
数多ある現代語訳の中での和歌の取り扱いの比較と、それぞれの訳者さんの個性の面白さについての解説や、俵万智さんご本人の源氏物語に対する思い入れも書かれ、何より作中和歌を俵万智さんが現代語訳した作品が読めるのがいいです
読み応えばっちりなのに、すごく分かりやすく、また源氏物語を読み返したくなる魅力にあふれています
個人的に好きなのは、源氏物語における推し姫君である女三ノ宮の歌(歌を作るのにも時間がかかっていた拙い頃と、成長して詠み上げた渾身の作品の対比)の解説です
この項目で女三ノ宮の良さがより掴めました
瀬戸内寂聴さんとの対談で「どの女君が好き?」というお話をして楽しかった~! というエピソードもいいです
著名な作家と歌人であるお二人がキャッキャしてお話してる様子が目に浮かぶし、お二人の推し姫君がいっしょだったのも、読んでいて嬉しくなります
源氏物語作中で、登場してすぐに儚くなった桐壺の更衣や夕顔は、和歌を読み解くと意外な積極性や情熱を感じるという解説や、女君が詠みかけた歌を“詠み解けない”鈍感な男や、わざと”詠み違える”ずるく卑怯な男の心の解説もしてくれるところも、辛辣で小気味いいですね
和歌を詠み解くことに含まれる心の綾にも、物語はひそんでいるのだと伝えてくれる、この本ならではの面白さです

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月17日
読了日 : 2024年1月17日
本棚登録日 : 2024年1月17日

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