土星マンション 4 (IKKI COMIX)

著者 :
  • 小学館 (2009年1月30日発売)
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感想 : 13
5

ミツの寝言…「もう拭けません!!から始まり(笑)1級試験を受けなければいけない、と言う事で「勉強」をしたミツ。自分の仕事に対してプロ意識が芽生え始め、影山がどんなものを使って仕事をしているのか気になってしょうがないミツ。「仕事」が「職業」になる瞬間がきちんと描かれている。職場に目標になる人間がいる、と言うのは本当に幸せな事なんだよなぁ。
放置されていた人工衛星の人工知能「朔」と真の話…泣けるなぁ。やっと来た指令が…(泣)ミツを嫌っている真と窓拭きしてる最中に通信機に混戦した電波が入る、サクと名乗るその声は「指令」をずっと待っていると言う。ミツは宇宙人と交信したかも、と思っているが、真はその声が「指令が来た」と言った時に声の正体を知る。知った事で、真はミツに対しての自分の腹立ちと、腹立ちを覚える事で(ちゃんと理由はある。真はタマチの為に怒っている)自分の方が仲間から離れていたこと、どうやっても一人で生きている訳じゃない事に気付き、「指令が来た」と喜ぶサクの最期の姿を見て、多分この世で一人「サク」の為に泣いてる…「サク」とは、打ち上げられたはいいが人工知能とコンタクトが取れず、放置状態になっていた衛星である…「朔(サク)」は打ち上げられてからずっと、宇宙空間の中でたった一人「指令が来る」のを待っていた。やっと来た指令は「使い物にならない人工衛星」を地球に落としてしまう事だった…泣ける…ずーっと、指令を待ってるんだよ…感情がない人工知能の無心が故の悲しさがこの一話に詰まっている。この33話だけでも、アンドロイドと人間もの好きな人は読んで欲しい。地球から宇宙に出ていく話は数あれど、地球に降り立つのが夢、と言うお話でもある。イルクラとか好きな人は読んで欲しいよ、マジで。真の頑なさ、タマチの代わりに怒ってる姿とか凄い解る。タマチの辛さをみんなが忘れてるのに腹立ってるんだよな、自分の為じゃなく。ミツが無条件でみんなに受け入れられてるのに腹立つ気持ちも凄い解る。ミツの努力を認めたくない気持ちも分かる。つまり、どちら側にもちゃんと「自分」があるんだよ。1話分、おもいっくそネタバレ気味に書いてしまったが、1話分くらいネタばれたって、土星マンションと言う作品の一部でしかない、と思って書いちゃったけど…。
私が人工知能ものに惹かれるのは、やっぱ人間が辛い・悲しい目に遭うのは「感情」があるからだと思ってるからだろうなぁ。感情を交えず物事を判断できればもっと楽に生きられるのに、って無責任に考えてしまうからだろう。逆に曖昧模糊としたものが理解できなければ「美」は解らないだろうなとも思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 青年漫画
感想投稿日 : 2015年3月21日
読了日 : 2015年3月21日
本棚登録日 : 2015年3月20日

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