第1章 仕事を早くする 小宮式「書く力」
第2章 書く能力を高める インプット力
第3章 インプットをアウトプットに生かす
第4章 アウトプットを高めるために学ぶこと
第5章 小宮式文章作成術 8つのポイント
.段取りには時間をかける
「段取り」とは、文章を書く前の準備です。
私が書くのが速いのは、机に座ったらすぐに頭の中にあるものを一気に書き出していくからです。コンピュータにたとえれば、CPUは「書く作業」だけに使われています。
机の前に座ってから「何を書こうかな」「どんなふうに書こうかな」などと悩んで時間をかけることはありません。事前に考えておいた内容を書いていくだけ。だから速いのです。
.「関心」を持ち「仮説」を立てる
「関心」が第1ステップで、加えて普段から基本となる数字や考え方などを勉強していると、それが基準となり、自分なりの「仮説」が立てられます。そうすれば、おのずとインプットの質が格段に上がるのです。(中略)
若い方は、まず、自分の仕事に関心を持って、自分なりの仮説をつくるのです。仮説を得るには、自己流ではなく、その分野の専門家の本などを読んでその本質を知ることが必要です。本質が基準となり仮説となり、さまざまな現象を見たときに、それが基準に照らしてどうかが見えるようになるからです。
.新聞を一面から読む
新聞は、新聞社(編集者)が重要だと決めた順番に一面から記事が載っているのです。重要なニュースから読んでいくというのが基本ですから、一面から順に読んでいくことが大原則です。
世の中が重要だと考えていることと、自分が重要だと思うものは違いますから、自分の好きなところばかり読んでいると、世の中の重要さと自分の重要さの感覚が知らず知らずにのうち大きく乖離していってしまいます。
逆に一面から順に読み続けていれば、世の中が重要だと思っていることと、自分の重要度が次第に合ってくる。いうなれば新聞を一面から読むのは、世の中の感性と自分の感性とを合わせる訓練といってもいいでしょう。
論理的思考力の高い本」を時間をかけて深く読む
最近では、インターネット上でちゃちゃっと調べることが知識の源となっている人も多いようです。しかし、ネット上にあるきちんと検証されていない表面的な知識を拾って、それを調べ直すこともせず、自分の知識として蓄積していくことは、とても危険なことだと思いませんか?
それでは真実を理解することは、到底できません。少々たいへんだと思っても良い本を読み、正しい知識を身につける習慣付けをしてください。
決まりごとは早く勉強しておく
会計なら貸借対照表を見るときに、左サイドが『資産の部』、右サイドが『負債の部』と『純資産の部』という基本的な枠組みを知っていないと理解できません。これは、決まりですので覚えるしかありません。
つまり、こうした規則(フレームワーク)は、知っておくべきことであり、遅かれ早かれ必ず必要になるもの。それなら早く勉強しておいたほうが効率的です。
「何でこうなるのだろう」なんて考えたってしかたありません。決まり事ですから、勉強して覚えるしかありません。
まず目の前のことを学習する
営業マンなら、お客さまのこと、商品のこと、自分の属する業界のこと……。販売業の方なら、扱っている商品の流通や素材や特徴、価格など。自分の専門分野を知ることが最優先です。
多くの方がそこを間違えて、すぐには必要ではない語学やIT関係、会計など、余計なことまで張り切って取り組んでしまいます。(中略)
とにかくまずは、自分の仕事の本質を究める勉強に時間をかけてください。
勉強しなくても、そこそこの仕事はこなせるかもしれません。しかし、自分の仕事を徹底的に突き詰めた人とそうでない人との仕事には、将来的に必ず大きな差が出てきます。
文章を書くときに私がまず考えるのは、「何を伝えたいか」ということです。
これは、自分が何を言いたいかということではなく、読み手にとって面白い内容になっているか、また読んだあとに満足感を得てもらえるか、もしくは何か役立つ情報が入っているか、という読み手にとっての「(バリュー)=(価値)」です。(中略)
そして次に大切なのは、そのバリューに対して、いかにインパクトのある書き方で読み手をひきつけられるか、ということです。
せっかく価値ある情報を見つけ、それをレポートにまとめたとしても、最後まで読んでもらえなければ、なんの意味もありません。
アウトプットと言うより、それに先立つ本質的な部分への言及が多い1冊でした。
もちろん、「難しい言葉を使わない」「文章を短くする」と言った「お約束」も掲載されているのですが、上記ポイントではあえて小宮さんらしい部分を抜き出した次第。
逆に、そういう部分こそが、本書の「バリュー」だと思ったので。
◆また本書は、個別の論点について、小宮さんが各種媒体で実際にアウトプットした文章がいくつも掲載されているのが特徴のひとつ。
アウトプットの例が「書籍」ですと、中身をまるごと載せることは無理ですが、「メルマガや会報等」の600字~1500字程度の文章なら論点の具体例として紹介することも可能です。
このやり方は、類書でもあまり見た記憶が無いような?
私は小宮さんのメルマガを購読しているのですが、あの号の内容は、こういう手順を踏んで書かれたものなのか、と改めて舞台裏を覗き見した気分です。
それにしても、あの文章がそんなに短時間(15~30分)でサクサク書かれていたとは、まったく思っていませんでした。
◆さて、他の類書と同じく、アウトプットの前提として、小宮さんもインプットの重要性を挙げてらっしゃいます。
同意されない方もいらっしゃるとは思いますが、上記で挙げたように新聞は一面から読みましょうよ、とw
小宮さんの場合、新聞は『読売新聞』『日経新聞』『日経産業新聞』の3紙を読まれているよう。
そして、小宮さん独特のインプットが「定点観測」で、本書では「グアムでの定点観測」から導き出された世界情勢の予想が紹介されています。
私はメルマガの時点で読んでいて「なるほど」と思ったのですが、この辺の「観察力」は是非見習いたいところ。
◆一方で、世間的に必要と言われる語学やITより、自分の専門分野を学習せよ、と言われているのは、私を含め、自己啓発書好きにとっては、耳痛いかもしれません。
同様に「論理的思考力の高い本」を読むことを薦められているわけで、本書では一貫して『目先の「要領のよさ」を追求しない』というメッセージを出されてらっしゃるような。
ただ、若いうちはともかく、ゆくゆくはこういった基礎能力の部分が大きな差に繋がってくる気がします。
今回挙げた「7つのポイント」も、今すぐには効果が出なくとも、将来的には大きなリターンとなってかえってくるハズ。
- 感想投稿日 : 2010年11月4日
- 本棚登録日 : 2010年11月4日
みんなの感想をみる