最期の言葉の村へ:消滅危機言語タヤップを話す人々との30年

  • 原書房 (2020年1月21日発売)
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感想 : 15
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新聞の書評で知り読みました。
 著者はアメリカ人でスウェーデンの大学に属する文化人類学者。
 言語が消滅する過程を知りたいと考え、話者が減少しているという民族、パプアニューギニアの密林の奥地カプン村でフィールドワークを行なった記録である。1985年から2014年の間に7回現地を訪れている。そのうち15年の空白期間があり、どんどんタヤップ語を話す人は減少している。一方タヤップ語はラテン語よりも古いと考えれている。
なぜそんなに歴史のある言語がなるなくのか。なにが原因なのかに迫った本。
 結論から言ってしまうと西洋文明に触れたことである。それも中途半端な形で。そうして自分たちの文化がいけてないと思ったら、タヤップ語を話すのが恥ずかしくなり、積極的に口にしなくなる。同時に民話や伝承に敬意を払わなくなる。現在、この地球、100の言語で人口の96パーセントをカバーできるらしい。残りの4パーセントで1000以上の言語がある。生活様式の均一化が多様性を損ねていく。
読んでいていろいろ居たたまれない気持ちになりました。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 人類史
感想投稿日 : 2020年7月21日
本棚登録日 : 2020年7月21日

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