若かりし頃の恋愛を、ふっと思い出すことがある。
若さ故の向こう見ずな言動が蘇り、赤面したり苦笑いしたり。
一人でまどろむ真夜中にホットココアを飲みながら物思いにふける、そんな夜がたまにはあってもいいものだ。
そんなちょっぴりおセンチな気分にさせてくれる12編の恋愛話。
叶った恋、叶わずに終わってしまった恋。
恋の相手も妻子持ち、優柔不断男、お調子者、甘えん坊で頼りない男等など十人十色、いや十二人十二色、恋は人の数だけ存在する。
一人の呟き「恋というものは、生まれる前がいちばんすばらしいのかもしれない」に共感。
叶うかどうかはまだ分からないけれど、ただ見ているだけでドキドキする、あの恋するわくわく感は振り返るととても眩しい瞬間だったと、今にしてしみじみ…。
それにしても、お聖さんの大阪弁は何度読んでも柔らかくて可愛らしい。
しんみりする切ない恋の話も、じわじわと優しく沁みる。
『エイプリルフール』『おそすぎますか?』『ひなげしの家』『怒りんぼ』が特に好き。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
田辺聖子
- 感想投稿日 : 2021年2月15日
- 読了日 : 2021年2月15日
- 本棚登録日 : 2021年2月13日
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