まだ温かい鍋を抱いておやすみ

著者 :
  • 祥伝社 (2020年5月14日発売)
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本棚登録 : 2021
感想 : 156
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老若男女問わず、人は食べる。
途方にくれた時でも、悲しいことが起こってどん底に落ちた時でも。
食べることさえできれば安心できる、元気になれる。
どんなに冷えた体も、悩みすぎて空っぽになった心も。
お腹を満たせば、自然と生きる力もわいてくる。
普段は当たり前のように食べているけれど、食べることって生きることなんだ、と改めて教えられた6つの短編集。

特に共感したのは『ポタージュスープの海を越えて』。
仕事に子育てに、と日々奮闘する二人の女性が久しぶりに楽しむ、二人っきりの日帰り温泉旅行。
「家族の食卓って、忖度の積み重ねでできてるよね。自分がこれを食べたい、以外の理由で組み立てた料理を毎日作り続けるって、考えてみると結構クレイジーだよ」
ほんとそう。
私も子供を生んでから作る料理は"義務"となった。
自分が何を食べたいかなんて、あまり考えていない。
子供が要望するもの、それでいて栄養のバランスのあるもの(特に今は、翌日の弁当のおかずになるもの)…世の母親の考えることはどこも同じ。
たまにはこの二人のような小旅行に行って憂さ晴らししたいな。

そして、大きな鍋に肉や野菜を沢山入れてグツグツ煮込む温かなスープ。
落ち込んだ時はやはりこれに限る。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 彩瀬まる
感想投稿日 : 2020年6月24日
読了日 : 2020年6月24日
本棚登録日 : 2020年6月22日

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