「人間の家を支配するためには、自分の魅力をどう人間にアピールすべきか、知っていなくてはなりません。表情、姿勢、しぐさ、顔や体の動き、全部を使って、自分の魅力を輝かせるの。だって猫はどんなときでも、妖艶でしとやかで、謎と魅惑に満ち、セクシーで肉感的で、快活で愛敬あふれ、おもしろくて人好きがして、愛の魔法で心かきみだし、心をそそり心を満たす、ほれぼれとかわいらしい存在であり続けなくてはならないんですから」
先輩猫が後輩猫に捧げる指南書。
人間の家にまんまと入り込むため、人間を猫の都合で操るため、何をどうしていけばよいのか、後輩猫に向けて懇切丁寧に指導してくれる”教科書”である。
人間、特に大人の男性は要注意である。
猫達は傀儡になりやすい男性を虜にして手玉に取ろうとしているのだから。
目を合わせた瞬間、すかさず声を出さないニャーオやゴロゴロのどをならして要求をアピールしたり、そっと近づいてひざやひじを前足でトントンたたく…見た目が可愛らしい上に、計算高くこんなことされた日には、猫の言いなりになるに決まってる!
そこの貴方、猫にコロッと騙されて喜んでいる場合ではない!
猫達は日夜、人間に可愛らしいと思ってもらえるよう秘かに可愛い仕草の練習をしているのである。
前足を立てて座りちょっと首をかしげるポーズを、もしも目の前にいる猫が取り始めたら、とにかく要注意である。
猫は貴方を言いなりにさせたいがためにわざとしているのだから。
その仕草をする自分がいかに可愛らしいか分かった上で敢えてやっているのだ…まったく困った連中だ…とブツブツ呟く私も、猫に振り回されることを心地よく思っている人間の一人です、はい。
- 感想投稿日 : 2021年2月20日
- 読了日 : 2021年2月20日
- 本棚登録日 : 2021年2月18日
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