由々、57歳。
一人息子も巣立ち夫とは程よい距離感を保ち、翻訳の仕事もマイペースに続けている。
何事も順調に進む彼女が、11歳の頃の自分"ゆゆ"と向き合うことから始まる物語。
人生も半ばを過ぎ、特に不自由なことはないけれど、ふと立ち止まり過去の自分と対峙する。
訳もなく不安になったり物足りない気持ちに駆られたり。
遠い日の記憶の中に迷い混み、いつの間にか絡め取られたり。
控え目で節度をもったモデラートの人生を歩んできた由々にとって、ざわざわした気持ちを持たせる一時は、自分らしさを取り戻せた瞬間。
人生は楽しいことばかりではない。
失敗したり傷ついたりしたことも、その時は辛くても長い目で見れば、そこにしかない良さに気づかされることもある。
そんな清々しい気持ちになれた物語だった。
高楼さんの作品は『十一月の扉』以来。
今回は大人の女性に向けてエールを貰えた物語。読めて良かった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年12月22日
- 読了日 : 2019年12月22日
- 本棚登録日 : 2019年12月21日
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コメント 2件
やまさんのコメント
2020/01/11
mofuさんのコメント
2020/01/11