曽野綾子氏の文章は初めて読んだが、その印象は、しっかりとした芯のあるおばあ様といった感じで、明瞭な言葉の数々には押し付けがましさはなく、むしろ「洗練」という言葉が適切に思う。
『日本の自殺』(文春新書)で指摘されている、文明の内部崩壊のプロセスと共通する内容もあり興味深く思ったが、簡単に言えばその基本にあるのは「これからの日本人に対する憂い」である。
混沌のない世の中など蒸留水みたいで魚も飼えない、という曽野氏の言葉はまさにその通りで、混沌は恐れるものではなく、人生を豊かにする楽しみだ。
混沌を楽しめるか否か。憂いに対する答えの一つはそこにある。
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- 感想投稿日 : 2012年8月29日
- 読了日 : 2012年8月28日
- 本棚登録日 : 2012年8月29日
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