指切りパズル (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)

著者 :
  • 南雲堂 (2021年9月29日発売)
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本棚登録 : 141
感想 : 21
5

メンバーそれぞれが動物好き、という共通点で盛り上がり、結成された3人組アイドルユニット「チタクロリン」。全国の動物園を回ってミニコンサートを繰り返し、着実にファンを獲得していっていたある日、事件が起きた。

 メンバーのひとりが動物園の人気者のレッサーパンダに人さし指を咬みきられてしまう。檻の中に手を入れて、レッサーパンダに触れようとしたのがそもそもの間違いだが、彼女はなぜそんな行動に出てしまったのか。そして普段は人に慣れていたレッサーパンダが突然とはいえ、興奮してしまったのはなぜか。警護にあたっていた動物園関係者の間にも腑に落ちないことだった。

 そんな疑問が解決しないまま、今度は他のメンバーが暴漢に襲われ、中指を切断されてしまうという事件が起こる。人さし指に続いて次は中指、これは偶然なのか、と警察関係者も頭を悩ます中、第三、第四の事件が連続して起き…。
 
 最初は指を次々と切られていくだけで、殺人事件もおきないし、おとなしめのミステリーかと思ったけど、後半から怒濤の展開になって気づけば一気読み。正直そんなに期待して読み始めたわけでもないので、読後感はとても満足。

 登場人物をその都度、動物に例えているところが変わっている。イメージしやすい。巻末の解説によると、著者は本名で鳥類や昆虫関係の本を出している専門家らしい。解説の千街晶之は19世紀フランスの風刺画家グランヴィルに通じるところがあると褒めているが、それは持ち上げすぎ。せいぜい外見を云々しているだけだと個人的には思う。
 
 
 ラストの謎解き、凡庸な60歳間際の動物園警備員がホームズばりの推理で、事件の全容を解説するが、なんかひっかかる、と思ってたら、ほんとのラストが最後に待ってた。

 プロローグの独白の意味もそれでわかった。
 
 あぁ、とってもスッキリ!
 
 もしかしたら、まだ騙されてるかもしれないけど、面白かったから騙されたままでもいいや。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月26日
読了日 : 2021年10月9日
本棚登録日 : 2021年10月9日

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