賢治作品を読むにつけ「すきとおった風」という表現がとても好きだということに気づく。
鏡と輝き飴をこさえる太陽や、鋼や宝石になる空、凶事を予告する象のような雪の丘や、アルコオルを吹き水車をまわす星座。
丁寧で繊細な風景描写のようであり、また舞台装置のようであり、どこまでの幻想のような、世界の描きかたは、ふと遊びに行くには最適の世界。
もっとも美しいだけでなく、うっかりすると、取り返しのつかない事態を招く…。
だから、この世界が恐ろしくも好きなのだろう。
それとはまた別な次元で個人的に好きなのは、
「烏の北斗七星」。
銀河をゆく鉄道と並んで、この世界設定は独特で本当に良い。ミリタリー物は今の時代、童話には不適当だろうけれど。
戦闘員にして艦艇。今風に描き直せば戦闘機のパイロットにでもしそうだが、「艦」としているのがやはり良い。
できたら、銀河鉄道を描いた某漫画家先生に挿し絵を描いてもらいたかったと夢想する。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2024年3月6日
- 読了日 : 2024年3月5日
- 本棚登録日 : 2024年2月4日
みんなの感想をみる