時は大正時代、裕福な家庭に育った寧子は、良妻賢母を育てる名門校の橘樹高等女学校の3年生だった。
寧子は、若い数学教師に心を高鳴らせるが、教師は指導以外には全生徒に対して距離を置いていた。
ある日寧子は何の理由も告げず、校庭の片隅にあった樹に縄をかけて自死してしまう。
数学教師の弓削朋久は寧子殺しの容疑で逮捕され、冤罪を主張するのだが懲役20年の判決が下り、奈良監獄に収監される。
弓削は1日でも早く娑婆に出る日を迎えようと、感情を抑えて刑期を務めることに留意する。
そこに殺人と放火の罪で無期懲役ながら、朗らかな元印刷工の羽嶋が収監されてくる。
実は羽嶋も冤罪で収監されたのだと知ってからは、徐々に気持ちが通じ合うようになる。
監獄内では友達を敢えて作らなかった弓削ではあるが、収監されて以来、高齢者の相内とは親しくしていた。
その相内は、奈良監獄は人が作ったものである限り、きっと脱獄は可能であると主張する。
そして何気に弓削に脱獄を果たして欲しい気持ちを伝える。
奈良監獄からの脱獄など不可能と弓削は考えるのだが、羽嶋の影響もあって脱獄の計画を練るようになってゆく。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
和泉桂
- 感想投稿日 : 2023年12月17日
- 読了日 : 2023年12月17日
- 本棚登録日 : 2023年12月4日
みんなの感想をみる