戦艦大和と一万二百個の握り飯

著者 :
  • 柏書房 (2019年6月26日発売)
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本棚登録 : 34
感想 : 5
5

ブク友さんのレビューで知って。
めちゃ面白かった。
歴史に造形の深くない私のようなものでも、こんな食餌を切り口とした話はすらすら読める。視点が面白かった。

〇一隻の強力な戦艦があれば、多数の劣性能戦艦をすべて排除できる。当時の常識であり、そう考えられ、造り上げられた戦艦が「大和」なのである。(p15)

☆大きければ大きいほどよい。砲撃が来ないところから一方的に打撃が与えられるように、遠くに飛ばせたほうが良い。日本には今までの成功体験があったから、ここから切り替えることができなかった。

〇大和の竣工乗員数は二千三百名。これだけの人数の食餌を朝・昼・晩、作らなければならない。(p21)

☆そりゃそうだ。それにしてもすごい量。陸軍は食餌作りも持ちまわりだったが、海軍は「烹炊(ほうすい)」と呼ばれる食餌作り専門の兵がいたという。道理で海軍の食餌はおいうしいと言われるわけだ。
食事と食餌の違いが・・

〇「命令を発する者」が士官であり、「命令を実行する者」が兵である(p74)

☆こういう初心者にも分かりやすい解説がありがたいし、面白い。

☆一人6合の米(麦飯)それを二千人分。配食棚にスチームが通っていてごはんが冷めないとか、心配りもすごい。

〇洋上では蒸留器を利用しなければ飲用水は得られない。(p94)

☆海水を沸かして蒸気から真水を得るのだという。沸かすには金がかかる。重油燃料。貴重だったろう。資源が豊富な国とこういうところでも差が付きそうだ。

〇一食二合分の飯を三つに分け、人数分、手で握る。(p172)

☆乗員三千四百名。戦闘時、これを百人で握るとすると、一人百個!!!
消毒して海水につけた軍手で握ったそうだ。熱さで低温やけど。竹筒に詰めて、出てきた側を包丁で切るとかの方法もあったらしいが、結局握るのが一番楽だよね。うん・・。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年12月26日
読了日 : 2019年12月26日
本棚登録日 : 2019年12月26日

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コメント 2件

nejidonさんのコメント
2019/12/26

えりりんさん、こんにちは(^^♪
この本、お読みいただいたのですね!!嬉しいなぁ。
レビューは私がひとり目で、えりりんさんが二人目です。
すごく面白いのになかなか広まらなくて残念です。
図書館で借りたのですが、返却するときに司書さんに「すごく良い本なので
お薦めです!」と言って笑われて帰りました・笑
呉市の記念館にも行ったことがありますが、ミニチュアでも圧倒的な
迫力でしたよ。
GHQの過激な粛清でこんな技術も葬られてしまいましたが、もったいなかったですね。
こんなコメントが出来る平和な時代で、本当に良かったです。
「わが指のオーケストラ」も興味深いです!

えりりんさんのコメント
2019/12/26

nejidonさん♪
ありがとうございます!
ずっとお話したいなあと思っていました。
嬉しいです。
本当、とっても面白いのに、レビューが少ないのですね。そんな中この本を見つけられたnejidonさん、すごいです!
とても興味深く読ませていただき、私も周りの方に勧めました笑
司書さんではありませんが♪
呉市の博物館、また行ってみたいです。
わが指のオーケストラ、ありがとうございます。
漫画でしかも3巻完結なのですぐ読めます。

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