本屋大賞を2度受賞された凪良ゆうさんの作品。こちらも初読みの作家さんです。
なぜ受賞作から読まないのか?それは、もちろん読みたいですよ。でもその前に、小惑星の衝突という絶望的なシチュエーションにおける人間ドラマが読みたいと思ってしまったのです。
「毎秒の核爆発が120年続く」威力という途方もない表現に、昔の映画(ぶつかる方)の希望を持たせるラストシーンは何だったのかとツッコミを入れつつ、この事象が今起きていない奇跡に感謝をしたくなります。
章ごとに違う人物の視点で描かれており、最初の2章の人物には一見繋がりがないように見えますが、実はしっかり繋がっています。この2人を繋ぐ女性が肝の座った人情に厚い人物です。その次の章は、この女性の視点で描かれます。
そうしている間に世の中は荒廃していきますが、登場人物の周辺は、大人たちの尽力(腕力?)で比較的穏やかな状態が保たれます。時折起こるトラブルを経て、心を通わせていき、不思議な擬似家族ができあがるのです。この過程に、涙が溢れるというよりは、微笑ましさを感じます。
少し残念に感じたのは、最後のエピソードが、ここまで描かれてきた家族とはまったく別の人物の視点で描かれる点です。それまでのエピソードとの繋がりが希薄で、展開も大味なため、ここでラストを迎えてしまうのは思い入れが十分に持てず、少し物足りなさを感じてしまいました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年7月28日
- 読了日 : 2023年7月28日
- 本棚登録日 : 2023年7月28日
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