『ななつのこ』に続く〈駒子〉シリーズ第二弾。広がる女子短大生の世界がリアル。ただし1990年代前半だが……。
駒子を中心とした女子短大生たちの日常描写が心地よい。舞台が1990年代前半ごろなので、登場する固有名詞が懐かしかったり。いくつかの短篇が最後につながって長編になるという構造が今回は前作以上に強化され、ラストの驚きがすごい。各短篇ごとの謎解きの楽しさ、さらにその裏で密かに進行しているより大きな物語を推理する楽しさ。少女時代に別れを告げようとする、大人になる一歩手前の切なさを感じさせるラストシーンには見とれてしまった。さらに有栖川有栖さんの解説が感動的で、これも含めて作品の一部といっていいかも。
シリーズものの2作目というのは、名作である前作を順当に拡張発展させて、さらに優れた傑作になることが多いものだ。本作はそこにとどまらず、変化球を加えながらも、やはり前作を超えてきたシリーズ最高傑作ではあるまいか。いやはや、最高だった!
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- 感想投稿日 : 2023年5月13日
- 読了日 : 2023年5月3日
- 本棚登録日 : 2023年2月19日
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