天上の虹(15) (講談社コミックスmimi)

著者 :
  • 講談社 (1995年4月10日発売)
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本棚登録 : 91
感想 : 5
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柿本人麻呂がようやく宮廷歌人として登場する。宮廷の狩場である阿騎野で詠んだ有名なあの歌が詠まれる。万葉集には感じのいい歌人が何人も登場するが、謎めいた人麻呂に興味を持ってしまう。いつかまとめて調べようと思ったことがあったのにまだ放置したままだった。
額田王がかつて「熟田津に船乗りせむと月待てば 潮もかないぬ今はこぎ出でな」と詠んだときこの歌人の立場を理解したように感じた。宮廷歌人であったのだった。
人麻呂が額田王と出遭ったのかどうか、こんなことも知らないが、いよいよ人麻呂の時代が始まった。天智はなく今や持統天皇の時代。天皇を神格化して歌い上げるには人麻呂が必要だった。ひょっとしたらこの歌人がいたから神格化も実行されるようになったのかもしれない。藤原不比等も神格化には大きな利益を得たであろうことも考えに入れないといけない。不比等と人麻呂の関係について論じた本をまだ知らない。
天皇は神ではない、日本国のシャーマンである、と私は考える。大海人皇子は偉大なシャーマンであったかもしれない。しかしう野讃良はどうしたのだろう。神の声を聞くっことが無かったのかもしれない。人麻呂が勝手に神とあがめたのに乗ったのかもしれない。その辺りのなぞを解きたいと思う。
天上の虹シリーズの15巻目で初めて身を乗り出した自分がある。途中で放り出さなくて良かった。自分の感性が鈍いことを改めて自覚した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック
感想投稿日 : 2013年5月30日
読了日 : 2013年5月30日
本棚登録日 : 2013年5月30日

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