キャリアポルノは人生の無駄だ (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2013年6月13日発売)
3.36
  • (26)
  • (80)
  • (88)
  • (25)
  • (12)
本棚登録 : 652
感想 : 114
4

論文を書いてたこともあり、約半年間いわゆる自己啓発書を読まずにいた。そろそろ一般的な本(本書は自己啓発書ではない)でも読もうか、と積読状態の中から抜き出したのがこれだった。表題にインパクトがあり読むのを躊躇していたが、手にとって後悔はしなかった。

シニカルな事例がふんだんに用いられたメイロマ節は、常に読み手に対して緊張感を与え、終始飽きさせずに最後の結論にまで導く。著者のように、幅広い学識と経験がなければ、このような主張は難しいと思う。

自己啓発書の類型化は、自己啓発書を網羅的読まないとできない分析であり、後続の読者に示唆を与えるだろう。私は説教系をよく読んでいたと振り返った。当時は誰かに教えを説いてほしかったのだろうか。理由は本文に書いてあるように、「経済的な不安と恐れ」が漠然と頭に過ぎり、カンフル剤を打つ感覚だった。

むしろ本書で重要なのは、第3章の著者による労働観にふれることだろう。前著でふれていることもあるかもしれないが、体験に基づいた国際比較からは、日本に住む我々が多くの異なる環境・習慣に在ることに気付く。個々人考え方を変えることは、順を追って検討すれば可能だと思う。しかし、所属コミュニティが持つ慣習・雰囲気が変わるには、多くの問題を除去する必要がある。構成メンバーが相当入れ替わらないと無理だと思う。だとすると各人のすべき行動は自ずと決まってくる。本書の最終項が参考になるだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自己分析
感想投稿日 : 2014年1月8日
読了日 : 2014年1月8日
本棚登録日 : 2014年1月8日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする