受検をするためのHowTo本というよりも、子どもの教育について考えるための面白い本だった。
中学受検や教育に関わる5人の専門家と、著者が対談する。
前半の小川さん、齋藤さん、安浪さんは塾の先生、受験界の達人として、きれいごとではない受験の実態が聞ける。
かなり赤裸々に塾事情や、受験についての知識をシビアに語っている。きれいごとでもないところが面白い。
ビジネスとしての塾。子供との向き合い方だとか。
中学受検への向き合い方がそれぞれの人によって考え方が違う。ただ、皆腹が据わっていることが共通している。それは大変なことを子供にさせるという意味では意見が一致している。
後半の宝槻さん、竹内さんは、中学受検への議論というよりも、本質的な学習。自主的な自分で考えられる子供を育てるのにはどうするか。どちらかというとかなりハイスペックな人材を育てるための話だと思った。
宝槻さんは、お父さんの方針で、高校にいかずにに京大に受かった3兄弟の次男ということからして、
「公立だろうが、私立だろうが、中高一貫校だろうが、どの学校に行っていたかという事はあまり関係ないですし、大学受験の結果を左右するものではないというのが僕の立場です」
という、実力主義、自信がすごいなと感嘆。
でも、こういう意見を聞くと、よくわからない受験界のルールだとか状勢に振り回されることがあほらしくなってくるから、いわば受験している人達の頭を冷やすことができのではないかと思う。
受検としての割り切った勉強と、本来の意味での楽しい自分のための勉強が両立するといいのにね。
「勉強する」ということが、
嫌なことに耐えられること=将来、嫌な仕事にも耐えられる
というロジックで、就職するための修行のよなもの。
と理解してしまっていることがあほらしくなる。
本来、自分の中の知的好奇心がうまく引き出されてやるものが「勉強」なんだろうな。と思わされる。
いい本でした。
- 感想投稿日 : 2020年2月9日
- 読了日 : 2020年2月8日
- 本棚登録日 : 2020年2月8日
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