「右から歴史を科学的に俯瞰する」
茂木先生の著作を読んだのは2つ目だが、帯にある通り「仕事でマストな教養」として大人向けに書かれていた印象を受けた。
どんなに優れた人間も認識のバイアスから逃れることはできない。
今回は先生の思想が割とよく出ていた気がする。そのことに自覚的でないと物を考えない保守が結構な勢いで生まれてしまう気がする。
中東のついて語られた章では、「価値のグローバリズム」という観点から現在の混乱を分析する。そしてあらゆる革命軍はエネルギーを持て余し暴走する宿命があるという命題を、演繹的にソ連やイスラム世界に当てはめ説明していた。
対象を破綻なく説明できている間は暫定的に正しいと仮定するという科学的な態度であると思った。
歴史を鑑みれば、「自由↔平等」という「経済的な座標」と「ナショナリズム(国家)↔グローバリズム(個人)」という「政治的な座標」でマトリクス図をつくるのにも合理的な根拠があるのだろう。日本も含めた世界の有名政治家や組織が思想的にどこに位置してどう対立し運動していくかには説得力があった。
ただ多様性が増すだろう今後は、もっと座標軸が増えて3次元的な表現が必要になってくるのかも知れない。そうなると紙での表現が難しくなるのだろうけど。
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- 感想投稿日 : 2023年6月28日
- 読了日 : 2023年6月27日
- 本棚登録日 : 2023年6月1日
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