ウェイクフィールド / ウェイクフィールドの妻

  • 新潮社 (2004年10月28日発売)
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本棚登録 : 114
感想 : 13
4

■ホーソーン
『ウェイクフィールド』

不思議な話だったー。
社会システム、疎外された男。
珍事を分析する視点の語りが面白かった。

社会には欠けた役割を補う働きがある。
人の心にも、欠けた状態から立ち直ろうとする働きがある。
自分がいなくても世界は回るのだ。
おかげで、一度離れたら戻るに戻れなくなった男の話。
「人の愛情に亀裂を生じさせるのは危険である。それが大きく、幅広く開いてしまうからではなく、あっという間にふたたび閉じてしまうがゆえに!」

孤独というよりは、疎外感を感じた。
親しい人はそこにいるんだけど、輪から外れているという。
離れてからの彼の新しい体系というのは、疎外者としての体系なのだろうか。戻りたい意志と、戻りたくない意志と、戻れないという意志と。
離れてからも「戻るところ」が起点となって葛藤しているから、他の役割(隠者等)を背負うこともなかったのだろうか。もし背負っていたら、家に戻らなくても良くなってしまったかもしれない。

でも結局最後はまた迎えられたらしい。
そこが面白いし深みがある。
実際の話でも有り得そうだもんなあ、奥さんよく許したな、とは思うけど。愛情の亀裂というのは、塞がったあとでも柔軟性があるのかな。
有機的で混沌としてるなあ。

『妻』はまだ未読!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ■外国文学、SF
感想投稿日 : 2015年10月23日
読了日 : 2015年10月23日
本棚登録日 : 2015年10月23日

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