本作に登場する名探偵は、エラリー・クイーン、エルキュール・ポワロ、メグレ警部、そして明智小五郎。
三億円事件を解決してやろうと義侠心を起こした日本の大富豪が事件を再現して4人の名探偵に推理させるというスケールの大きな試み。
高度成長期末期の1970年に企画され、執筆されたようです。当時の日本人の経済に対する自信が感じられる設定です。
大物名探偵を4人も登場させるのは面白い試みですが、かなり大変だと想像できます。何せ4人全員に見せ場を作らなければなりませんから。
また、トリックが簡単なしょぼい犯罪だと4人が活躍するまでもなく一瞬で解決してしまいます。
しかし「怖くない」と言ってるだけあって、なかなか大胆不敵なトリックで、名探偵達も一敗地にまみれます。
しかしその後は各々が持ち味を生かして別々のコースから犯人を追い詰めていきます。
やはり4人もの名探偵を敵に回すのは怖いことですね。
私は本書を中学3年の頃買っていました。今はないジャスコに入っていた今はない書店のカバーが付いています。
古典的名探偵のパロディということで、この4人の名探偵の作品を完訳版で読破した後に読まなあかんと思っているうちに重度のうつ状態に陥り本も読めない状態になってそのまま30年以上放置していました。
パロディをより楽しむには原典を知っておくことが必要だと、マニアの皆様には理解して頂けることと思います。
しかしうつ状態で余りにも長い間本を読めない暗黒時代を経験した今、そのような悠長なことは言っていられない状態です。
ここに至って、まず先にパロディ作品を読書案内代わりに読んで、そこから原典に戻るのも一法かと思ったわけです。
実際に読んでみて思ったこと。やはりネタバレが幾つもあります。
著者の西村京太郎さんは、ミステリーファンだから古典的作品の知識があって当然ということを前提に描かれたということです。
ウィキペディアの本作品に関する項目でもネタバレについてネタバレの記述があるので要注意です。
ただ、原典を完訳で読むのは相当大変でしょう。それに比べて本書の方が読みやすいし、内容も楽しい。
難しい原典を読んでから楽しいパロディを読まなくちゃいけないという法はありません。
この際、原典のネタバレ関係なく楽しくて面白い本書を読んでしまうのが読書人生を楽しくするコツだと思います。
いつ読むか分からない・結局読まないかも知れない原典のネタバレが怖くて本作を楽しまないのはもったいない!
(それに、ミステリーの知識が増えていいじゃありませんか)
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20171119/p1
- 感想投稿日 : 2017年11月20日
- 読了日 : 2017年11月20日
- 本棚登録日 : 2017年11月20日
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