関東大震災で朝鮮人が毒をばらまいているとかそういう噂で虐殺された、ということを漠然と知っている人は多いだろうが、なぜそれが起きたのか、どのくらいの規模でどういうスピードで起きたのか、というのは詳しく調べたこともなかった。本書で語られるその事実は正に戦慄もので、礼儀正しく優しいはずの日本人が特定の条件下では、根拠のない流言飛語によっていかに強い群集心理を育み、そして残虐になりうるのかをまざまざと見せつける。心理的にこの事象を解説することは十分可能だが、その可能性が現実になり得た経験をこの国が持っているのは9/1が来るたびに思い返してもいいのではないか。それ以外に、地震学者の対立とその熱意、あるべき都市計画など本書で考えさせられることは多い。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2017年12月1日
- 読了日 : 2017年12月1日
- 本棚登録日 : 2017年12月1日
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