今井先生の作品をいい加減集めようと思い購入。前情報に違わず、1巻を読み始めたら止まらない面白さを備えていました。アニメという団体で作る物をテーマにすることで繰り広げられるであろう煩わしい人間関係や才能の問題、出来た時の達成感、色んな要素を余さず詰め込んだこの作品は見ていて様々な感情を掻き立てられました。
持たざるものの後味の悪さ。今井先生の過去を考えればみよし側の人間だと思いますが三山先輩や映研部長などの描写もやけにリアルでした。自分は臆病ものなのであくまで手は動かしますが、正直心は三山先輩に同調してしまいました。あんな近くで才能の塊を見せつけられ、触発されてなにか行動しようにも絶望してしまうほどの空っぽな自分、わかってはいるがああいった足を引っ張ってしまう人間をしっかり描写した今井先生はすごいというか有難うと感謝を言いたくなりました。それほど、コピーを渡し終えたあとの三山先輩には自分を重ねてしまった。
しかし、そんな人間達で作り上げたものでも作品は作品。色んな障害があって挫折することは多くの人が体験したことがあるはず。だけど、どんな形でも完成に至ったときの達成感と自分は逃げなかったという証拠をもらうためにやりきるしかないんだよね、それこそみはしのようにがむしゃらに。そのがむしゃらで自分が楽しめなかったら止めるしかないけど、楽しいなら止める必要もない。最後のふみさんの言葉には見る人がみれば自己中かもしれませんが確固たる自分を持った人の良い言葉だったと思います。
一歩を踏み出せない人、頑張る人、諦めてしまう人、青春群像劇としてやるべきことはやった作品でした。エピローグも未来に続くいい終わり方でした。多分しっかりとした完成というか気持ちいい終わりを期待してた人にとっては尻切れトンボな終わり方だったかもしれないけど、この残る違和感こそリアル感なのではないでしょうか。
- 感想投稿日 : 2013年4月15日
- 読了日 : 2013年4月15日
- 本棚登録日 : 2013年4月15日
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