湊作品というより辻村作品のようでした。イヤミスの湊さんもいいけど、たまにはこういう作品もいいですね。
現実とそこに至った原因を突き止めたい映画監督と現実を受け入れられず理想のキャラクターばかり描いてしまう脚本家。正反対なこの2人の話が交互に語られ、最初から最後まで惹きつけられる展開で、終盤には伏線が繋がり、流れるようなストーリーでした。
幼少期にベランダで塀越しに出会った子供は誰なのか、という探究心からその一家の殺人事件を映画化するという内容。情報の一部を切り取っただけの報道や噂話では真実は掴めず真実に向かうには覚悟が必要。ここら辺は白雪姫殺人事件で描かれていたものと同様の気がします。
本筋ではないですが、脚本を書くのにフィクションであってもこんなに下調べが必要なのかーと驚きでした。
伏線回収は気持ちよかったしめちゃくちゃ読んでよかったーっていういい作品だったんですが、湊かなえさんならではのイヤな感じも味わいたかったー。また告白のゾクゾクが欲しくなっちゃいました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年5月6日
- 読了日 : 2023年5月6日
- 本棚登録日 : 2023年5月6日
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