人間の大地 (光文社古典新訳文庫)

  • 光文社 (2015年8月20日発売)
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本棚登録 : 409
感想 : 35
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砂漠から生還した著者の話が印象的だった。著者は砂漠で脱水症状になり今にもこと切れるというその時、通りすがりの商人に命を助けてもらった。だが著者は感謝をしてもしきれないような、自分を救ってくれた恩人の顔も名前も忘れてしまったという。今となってはもう、その恩人に感謝の思いを伝えることはできないが、そのかわりに人類全体に感謝し、人を愛するようになったという。

仕事をしていて、お客さんから感謝の言葉を貰うとすごく嬉しい。しかし、世の中には重要な仕事であるにもかかわらず、直接的にお客さんと対面する機会がないために、そういった感謝の言葉などを得られず、自分の仕事の意義を感じられない人も多いと思う。そういう人にこそ、この言葉を知って欲しいと思う。直接的に感謝されることはなくとも、自分の仕事は人類への愛という形で還元されているのだと思うと、これ以上に幸せなことはない。この本を読んでそのことに気づけた自分は幸せだと思う。

文章も綺麗で印象的なエピソードやフレーズが散りばめられた非常にいい本だった。ぜひ読んでいただきたい!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年10月30日
読了日 : 2019年10月6日
本棚登録日 : 2019年10月6日

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