流転の海 第2部 地の星 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1996年2月28日発売)
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本棚登録 : 1356
感想 : 79
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人間の複雑さ、極まれり。ゴタゴタとした中で、徐々に熊吾が、房江の人物が立ち上がってくる。

感動的な場面があったかと思うと、裏切る様に短絡的に動く熊吾。支離滅裂で、非常に賢いところと、非常に愚かなところと。様々な感情と側面が同じ人間の中に同居しており、そんな人間が集まって、すったもんだしている。

いっ時の言動は、大事だが、それらは表層的なものであり、それらを生み出す性分、変えられない業が人間にはあるということか。

作中で、宿命、環境、自分の中の姿を見せない核という、三つの敵について熊吾が考察するところが秀逸。人間の言動は、意識的なものだけでなく、これらによって影響制限を受けていることを、自覚することも、大切なのかもしれない。

二巻に入り、ようやく読み慣れてきて、小説世界に段々と没入し始めている。様々な、教訓めいたエピソードが随所にでてくる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年9月10日
読了日 : 2023年9月10日
本棚登録日 : 2023年9月10日

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