セミたちと温暖化 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2009年12月24日発売)
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本棚登録 : 144
感想 : 11
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本当に動物、とりわけ昆虫が好きな方なんだな、というのが伝わってくるエッセイ。
自然と人間社会の関わりについて、興味を持った昆虫の生態について、昨今の地球環境の変化について…など、筆者が「なぜ?」という疑問にどう向き合い研究してきたかが書かれている。
圧倒的な探究心と観察力…さすが研究者…。 

各エピソード、少し短すぎるかな?という印象。
稲垣栄洋の「生き物の死にざま」に少し似てるけど、より筆者の嗜好が強く出てる印象。
こういったトピックスにもともと関心のある方は楽しめるけど、そうでない人にはオススメしにくいかも?と思い★2つ。


●メモ
春の数えかた
虫:それぞれの種ごとに「発育限界温度」が決まっており、温度の累積で春を数える。
例)7℃の虫の場合、その日の気温から7℃を引いた温度を毎日足し合わせていき、一定の値に達すると卵から孵ったり蛹になったりする。
鳥:日の長さ(明暗の周期)によって春の到来を知る。
つまり、地球温暖化が進めば、生物たちの春の数え方に食い違いが起こる可能性が生じる。

祈祷師の話
蛙の皮膚はきわめて精密にできていて、湿度に関してとても敏感である。
なかなか雨季がやってこないと、人々は祈祷師に雨乞いを頼むが、祈祷師は蛙を捕まえてくるように言うのだそう。蛙が一匹でも微妙な湿度の変化を感じ地中から姿を現したら、雨季の到来を示すものだからである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年6月17日
読了日 : 2021年6月17日
本棚登録日 : 2021年6月17日

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