メアリーは自分が何者かもわからない。
ただ分かるのは、メアリーが人間でないことは確かで、そして人間には自分は化け物にしか認識されない忌避される存在であるということ。
ずーっと長い間ひとりぼっちだったメアリーに、メアリーという名前をくれて、初めてのお友達になってくれた、とても見た目のいい転校生の12歳の男の子・マミヤくん。
メアリーは自分の特性を活かして、マミヤくんの「お願い」をたくさん叶えてきた。
そして小学校やマミヤくんのクラスメイトたちのことも観察してきた。
そうしていくうちに、メアリーにある疑問が浮かぶ。
マミヤくんはなんでこんな「お願い」をするんだろう…?
そこで見えてくるものとは…
その結果、メアリーが起こした行動とは…?
すごく、胸にキた。
自覚のない悪意。それが実現してしまうことの恐ろしさと、実現したことによる感動(と言っていいものか)でこれまた罪悪感なく加速してしまう他者への躊躇のない加害。
これが児童文学か…と読了後ごくりと唾を飲んだ。
読んでもらう対象として、小学生含むティーンズであることは道理に適っている。そういう内容だ。
実際多くの子どもたちに読んでもらいたいと思ったしね。大人にも響く…。
小学中学年くらいに読んだら結構怖いと思うかも。
でもそれが本書の狙いで。
ちゃんと恐怖すること。恐怖は人として道を踏み外さないために大事な感情であること。
それを教えてくれる物語だ。
また教えてくれるのが人間ではない、というところも面白い。ラストも良い。
書籍化前に連載されていた時は「わたしと友だちになってはいけない」という題だったそうな。
とても納得。
- 感想投稿日 : 2022年10月6日
- 読了日 : 2022年10月6日
- 本棚登録日 : 2022年10月6日
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