盲目的な恋と友情

著者 :
  • 新潮社 (2014年5月22日発売)
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感想 : 500
4

前半が「恋」。後半が「友情」。
よくあるセットモチーフだがどう結びつけるのかと思ったら、ほぉーなるほどぉーと思いながら読んだ。
相変わらず人物描写や、それに伴う人間関係や各人の行動言動描写などは卓越していて、さすがだなぁと。
ただ、題材もあってかどの登場人物も好きになれんなぁという気持ちもあって、好みかどうかで星をつけるとしたら3かな。
ラストはそっちかーとなかなか面白かったが、それを踏まえて前半を読むと、恋に盲目なだけあって彼女の都合の良さが読んでる最中より読後の方が強く感じられた。
後半の彼女は、恋に盲目な「親友」に「それはあなた自身の快楽と欲だ」と指摘するが、そういう彼女自身も友情に盲目で、彼女自身の快楽と欲を最終的に優先したのだなあと思った。
しかしここまで来ると、これは恋でこれは友情なのか?という疑問が湧く。恋や友情という名を借りた別のおどろおどろしい何かのような。
ただどちらも次第に飢えていく「欲望」だったのだろうかと。
ああでも後半の彼女が飢えていたのは、友情だけじゃないな、全てだ。
「どうして、いつの日も、友情は恋愛より軽いものだというふうに扱われるのだろうか」という考えには同調したが、そんなことを思う彼女も、自分が誰かの一番に選ばれるなら友情でなくてもよかったのだろうなと思うので。たまたまそれになれそうなのが女友達だっただけで。
月並みで分かりにくい感想になった。
あっ、ヒグチユウコさんのカバーイラスト最高!
ジャケ買いみたいなもんだったので、多分この装丁がなければ苦手な題材だ〜と避けて読まなかったと思うので…
読後改めてカバー絵を見ると、2匹の猫の衣装がお揃いに見えて片方だけ少し装飾が豪華だったり、2人並ぶ少女の片方の顔が見えなかったり。
どんな意図で描かれたのか気になります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学/小説
感想投稿日 : 2022年4月16日
読了日 : 2022年4月16日
本棚登録日 : 2022年4月16日

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