狭小邸宅 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2015年2月20日発売)
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感想 : 132
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新卒で不動産会社に就職した『松尾』。まったく物件が売れないことから、上司からパワハラを受け、それでも何となく営業を続ける日々。異動先でも退職を促されながら、何とか不人気の狭小住宅を売ることができた。その日を境に、上司からの手ほどきもあり不動産営業にどっぷりと浸かる。
一方で大切なものを失い、言いようのない不安に駆られながら、今日も車を走らせる。


とにかくのっけからパワハラの描写がひどくて、読んでいるこちらまで心臓がドキドキする。不動産営業は売ってなんぼ。「殺してこい!」。物件を売ることをそう呼び、押して引いてのテクニックでお客をその気にさせる。『松尾』がどんどん不安定になっていく状況は、もう見ていられません。ああ、こういう仕事、わたしには無理だ。強靭なメンタルが必要だ。

なんでこの作品を読んだかというと、日大のアメフト問題だったかでどなたかのブログで紹介されていたからなのですが、こういった特殊な環境で追い込まれると、人間、変わってしまうものですね。その本人には為す術がありませんから、周囲がきちんとケアしていかなければいけませんね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2018年6月7日
読了日 : 2018年6月7日
本棚登録日 : 2018年6月7日

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