日本で老いて死ぬということ―2025年、老人「医療・介護」崩壊で何が起こるか

  • 朝日新聞出版 (2016年6月20日発売)
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★2016年7月24日読了『日本で老いて死ぬということ』朝日新聞迫る2025ショック取材班 評価B+
今年1月の義父の94歳大往生以来、ずっと考えていた答えを求めて読んでみた。

 私が不勉強なため、知らなかったリビングウィル 延命治療の拒否などを事前に意思表明しておく文書の存在やそれを用意していても、不意の容体急変で結局、患者急変時の短時間の救急医の説明によって、病院に運び込まれ、患者の当初希望であった自宅での最期が迎えられなくなるケースが非常に多いこと。
 また、普段から定期的にかかりつけの医師に診療を受けていれば、自宅で亡くなったとしても、遺体に異状がない限りは、医師の死亡診断書が発行できること。これを知らない行政、医療、介護職関係者が多いこと。結果、遺体は病院に運び込まれてしまう。

 胃ろう手術もメリット・デメリットがあり、十分に検討して結論を出すべきこと。

 この本では、現在の介護医療の現場の問題が語られ、これから起こる大量のベビーブーマー世代の要介護時代が2025年に迫っており、このまま対策が取られなければ、死に場所さえも確保されずに社会問題化する可能性があるとの指摘。朝日新聞がシリーズで取り上げていたようで、購読者の方はすでに読まれたことと思う。(私は例の一件以来、朝日さんの購読は一切中断しており、この本で朝日新聞の記事を読むのは久しぶりである。決してネトウヨのタカ派ではないが、結果的に国を売った記事をなかなか謝罪できなかった点は決して許せない。)

横浜市の2013年の75歳以上の老人数は、364千人。2025年には586千人に激増する。これに伴い、介護施設や死に場所の確保が問題となると予測されており、介護施設や在宅医療の充実がないと、横浜市だけで2011年の死亡者数25千人に近い、23千人も病院外で死亡しなければならなくなる。しかし、まだその受入体制作りはできていない。

圧倒的に特別養護老人ホームの数は足りず、小規模多機能型居宅介護と呼ばれる通いのデイサービス、宿泊のショートステイ、訪問介護のそれぞれのサービスが組み合わせられる介護形態の体制整備が急がれる。そのような中、これらの問題を解決すべく、尽力している人たちが存在すること。

ここ長崎に住むと、人口は少なく限界集落も数多く出てくるとは思われるが、地方の方が大都市に比べ、結果的に一人ひとりへの配分額は大きく、良い老後が送れてしまうのではないか?!とふと思ったりする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2016年7月24日
読了日 : 2016年7月24日
本棚登録日 : 2016年7月24日

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