スタンフォード式 最高の睡眠

著者 :
  • サンマーク出版 (2017年2月27日発売)
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最近ようやく日本でも「良い睡眠方法」が話題になり、いろいろな雑誌に取り上げられ、企業内セミナーなどでもテーマになったりしている。この本を1冊読めば、セミナーを受けたも同然。睡眠時間をはじめ、体力には個人差があるが、老若男女問わずどのような人でも最高のパフォーマンスを仕事&プライベートで発揮してもらうためのスキルとして、「睡眠学」がようやく日本社会でも注目されるようになり、とても良いことだと思う。

睡眠時間を削って、長時間労働や社内コミュニケーション(飲み会)に徹する「屈強な人」だけが評価される時代は過ぎ去ろうとしている。いや、一部未だにその風潮をヨシとする世界は残っているが。。。『最高の睡眠』を得るためのスキルは本書に書いてあるが、大多数の日本のサラリーマンにとって一番重要なのは、最高の睡眠を得るための「意志と勇気」である。この本では、それについて一切書かれていない。



ここに、超古臭い体育会気質の会社で、未だに起きていることを記しておく。

新入社員の頃は、飲み会の途中で「明日の仕事に影響が出るので帰りたい」などと言うと、上司や先輩から「根性が無い」「年長者より先に帰るのは失礼」「この業界の厳しさを分かっていない」「俺たちも最初は辛かったがそのうち慣れる」「明日は8時半までに這ってでも来い。仕事は流しでも構わない」などと徹底的にどやされた挙句、その場で一気飲みをさせられたものである。

翌朝はもちろん二日酔いで、頭痛と吐き気に耐えながら定時前に出社する。先輩たちはとっくに出社していてバリバリ仕事をしている。「あれ?お前そんなに飲んでなかったよな?」などと言われる。そして午後は睡魔との闘い。夕方になると「飲みに行くぞ。仕事?そんなもん定時以内に終わらせろ」と声がかかったものである。とまあ、こんな調子で1週間が過ぎるので、終わらなかった仕事は土日に片付ける。そして土日出社時、不幸にも先輩達が休日出勤していたら、やっぱり連行されるわけである。。。

こういうケースを紹介すると「別についてかなくて良いじゃん」とか「転職すれば良いのに」という指摘を受ける。それが簡単にできるなら、私の働く業種はこの世に存在しないだろう。

幸い、ポンコツ社員だった私でも、部下を持ち、先輩と同等または先輩よりも上の立場になりつつある。会社の読書会で本書を取り上げて広く宣伝し、古臭い正義を打破しつつ、どんなキャラクターの人でも活躍できる新しい社風を作りたいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年9月23日
読了日 : 2022年9月23日
本棚登録日 : 2022年9月11日

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