プリズンホテル 1 夏 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2001年6月20日発売)
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2泊3日の奥湯元あじさいホテルの旅

ヤクザが経営し、懲役がえりが訪れ、へんてこな従業員が不器用に世話し、まがいものの調度品で飾り立てられたこのホテルがどうしてこんな安息をもたらすのだろう

チェックインの時、抱えていた心のわだかまりや悩みが
チェックアウトの時には、もう一度やり直してみるか、頑張ってみるかと生きる希望に変わっている

「来るもの拒まずの任侠。片っ端から来るもの来させておいて、収拾がつけられないじゃないか」
というセリフが文中にあるが、まさにその通り、何でもありのドタバタ喜劇、いや喜劇というより人情劇というべきか

主人公の木戸孝之介、今や蝶よ花よの人気売れっ子作家
売れっ子とはいえ、義母の富江や愛人の清子への乱暴な言葉遣いや暴力に初めは辟易、いくら30年前の出版とはいえ問題じゃなかろうかと思ったが
全て子どもの頃に母に出て行かれたコンプレックスから来ていたのか
愛情をあんな形でしか表現できない不器用で孤独な男だったのかと納得した

あとがきで、『木戸孝之介』という名前は、20有余年にわたって浅田さんが使われていたペンネームだということを明かされていた
読んでいて木戸孝之介が浅田次郎とダブって見えて仕方がなかったのも著者の狙いだったのかもしれないと思った

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年12月29日
読了日 : 2019年4月23日
本棚登録日 : 2019年4月23日

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