ロードムービー的に舞台が移り変わり、自己を失った人達との出会いや、突如として訪れる死。
それぞれの境遇と、人に対して必ず訪れる運命への啓示。
焦燥感から次第に解き放たれていく「僕」の姿が人間関係の縮図的に描かれていきます。
それにしてもクライマックスの緊迫感が半端なく、オカルト映画を見てるかの様で恐ろしかったです。
他の作品に比べると分かりやすいメッセージ性があって、時代背景(高度成長期)は違えども、アイデンティティーを喪失しがちな社会の中でも、地に脚をつけて自我を追及していく人達の姿が印象的です。
主人公の「僕」に、「鼠3部作」からずっとずっと漂っていた虚無感とか喪失感が、様々な人との出会いや別れを通じて、希望に繋がって行きます。
長い「冒険」から、一回りして帰ってくる…壮大な物語が、この作品で完結した満足感。でもちょっと寂しくなるほど、インスパイアされてしまいました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年10月27日
- 読了日 : 2012年10月27日
- 本棚登録日 : 2012年10月12日
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