SF自体があまり読まないジャンルだったため、読み進めることが若干難しかった。
幸福な社会を実現するための最終的な結論として、個々の意識を消滅させる、という落とし所であった。争いは消え、傷つけ合うことがなくなり、病とも無関係な世界が構築された完全なハーモニー。一人一人が、社会という巨大なコンピューターを動かしていくための、それぞれ決められた役目を果たす電子部品のようになり、個が消滅した世界となった。
悲しいも面白いも、退屈も楽しいもないその世界は、きっと無と同じであり、死の先にあるものを生きながら得るようなものなのだと思う。
「私は私のもの」と強烈に主張していた本人が、私のない世界を創造するという結論に至ってしまったのは、なんという皮肉だろうか。
どれが幸せなのかは分からない。きっと人間ごときが断言できるようなことではないのだと思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年4月20日
- 読了日 : 2022年4月20日
- 本棚登録日 : 2022年4月20日
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