夜を忘れたい (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

  • 二見書房 (2001年7月23日発売)
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感想 : 13
4

オリジナル・タイトル 「DREAM MAN」
ヒロイン:マーリー28歳。ヒーロー:デーン34歳。
リンダの小説のヒロインとヒーローは、決して美男美女ではない。しかし、その信念、性格、行動力などの内面的なものが肉付けされて、見事なまでに魅力的な人物が出来上がる。

今回のこの話も例にもれない。とくにストーリー出だし、ヒーローのデーンの人間の生活は男くさい。刑事ゆえか、まずは事件一番。着る服はシワシワでもへっちゃら、そこら辺に脱いだ服を手っ取り早く着て、いち早く現場に駆けつけるのが大事。ネクタイ?首に巻いてあれば何でもいいと思っている。身長は190cmを超える大きな男。体格も素晴らしい。肩がけホルスターは彼の体の一部となっている。しかし、警察として凶悪事件を追う彼の信念に揺ぎはない!男性フェロモンを振り撒いている彼は、当然オンナに困ったことがない。あちらから寄ってくるものだった。

そんな彼が、マーリーにあった瞬間、恋に落ちた。・・・が、彼はこの事実に全く気が付かない。ようやくマーリーに告白するのはストーリーも最後の最後。しかもマーリーに導かれて・・・情けない。オンナを惹き寄せていたデーンが、初めてオンナに惹き寄せられた。そして彼女を守る!と言いつつ、離れられない離れたくないのはデーン、お前だろっ!と突っ込んでしまったほど、マーリーにのめり込む。

一方、ヒロインのマーリーは特殊能力の持ち主。
私達のいる現実とかけ離れている人物設定に、当初、このストーリーに入り込めるかしら?と不安になったが、彼女の生い立ちや辛い過去を知っていくうちに、また、彼女の性格がそれによってできあがり、気配を消したがる生活を好む事ようになったと思うと、彼女にシンクロしていってしまう。しかし、どんなに弱くみえても、辛い過去があっても、リンダの描くヒロインは「強い」!。デーンがマーリーに迫らなければ、マーリーはデーンを好きにはならなかったんじゃないかしら?押しに押されたからなぁ。

ストーリーの最後、やっぱりヒロインは強かった!この「強さ」を見せてくれた!間接的にデーンの残していった拳銃が、マーリーを救ったのだが、あの状況下、我が手で我が生命を守ったマーリーは素晴らしい!!
デーン・・・あんた、結局、一番守らなければならない時に、守らなかったじゃ~ん。本人も12時間も経たないのに、15回も震えながら後悔している。巨体でその姿は笑えるぞ。

あれ?この展開、どっかで・・・「Mr.パーフェクト」と似ている・・・。
リンダのストーリーの悪人をやっつけるパターンって3つに別れる事が判明。
1,ヒロインが倒す
2.ヒーローが倒す
3.二人で倒す。
他人によっては倒されない。

今回は「1」だ。

エピローグを読んで、マーリーの特殊能力がデーンにも備わった?と思っちゃった(笑)。

サスペンスで読んでいてドキドキしたけど、後味のよいストーリーでした。
そして、忘れちゃならないトラメル君。今までよくぞデーンの面倒をみてくれていました。
これからも、デーンを、センスのよいアタナの友達でいさせてください。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: リンダ・ハワード
感想投稿日 : 2012年7月11日
読了日 : 2012年7月10日
本棚登録日 : 2011年9月4日

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