鴨川ホルモ-

著者 :
  • 産業編集センター (2006年4月1日発売)
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感想 : 1047
5

面白かった!
読み終えて、非常に満足できる1冊でした。

文章はさほど読みにくくも読みやすくもなく、やや説明的な文面が多いので、前半部分はやや忍耐が必要。やっと4分の1、やっと3分の1、と思いながら読んだ部分も多かったが、後半から畳みかけるように展開が気になって来て、最後の方は一気に読めました。また、時々クスリと笑える文章がちりばめられていて、なんとなく憎めない。

時は現代。場所は京都。京都大学1回生の俺、こと安倍は、葵祭でのバイトの帰り、怪しげな上回生に話しかけられます。それが、「ホルモー」との出会い。
ホルモーとはなんぞや?と思いながら、読者も安倍と一緒に摩訶不思議なホルモーの世界に迷い込んでいきます。
内容としては、王道のサークルでの恋愛と人間関係のごたごたの話で、そこにホルモーなる謎の競技(?)が紛れ込んできて、事態をややこしくしていくわけです。

学生時代を、同じく京都でサークル活動に熱を燃やしながら過ごした身としては、わかるわかるわかるわかるわかる!!!!と100回くらいは呟きながら読みました。
安倍と一緒に鴨川縁を散歩している気になりながら、自転車で高村宅まで北上している気になりながら、半ば自分の懐かしい思い出の一遍のような気すらしながら、物語を楽しむことが出来ました。むろん、自分の思い出の中にはホルモーのホの字もありませんが。
京都好きとしては、安倍が阿部でないのに含み笑いし、高村は篁だろうなぁとか早良親王だなぁとか、もうそれだけでウキウキ楽しい気分になりました。

主人公の安倍はあまり特徴的ではない気がしますが、脇役の濃いこと!
特に、のちに親友となる高村の濃さは言うに及ばす、凡ちゃんこと楠ふみの濃さ!
そして私は何気にスガさんが好きです。とにかく人物が濃くていい。
十七条ホルモー発令後に表紙絵を見ると、むふふとなって、それも素敵です。

結局、最後まで読んでも、んで、ホルモーって結局何だったの?って感じがしないでもないですが、なんとなく古めかしくてヤバい感じが感じ取れればそれでよいのかも。だってこのお話は、サークルの人間関係と恋愛のお話なんだもの。(だよね?)
大団円までを、過不足なく余すところなく描き切ってくれたので、読後に大満足で本を閉じることが出来ました。
『ホルモー六景』もぜひ読みたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 一般
感想投稿日 : 2018年8月23日
読了日 : 2018年8月18日
本棚登録日 : 2018年8月18日

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