この巻では主人公の顔回は気配だけで表舞台にほとんど登場しません。それだけに孔子側と敵対する悪役たちが、隙をねらって孔子の門下生たちや顔回と馴染みの深い人物に深く入り込んでいく様に顔回は一体いつになったら出てくるのかと気が急きます。
事態はどんどん深刻になっていきます。顔回の許嫁的存在の妤は、子蓉からもらった鏡から媚術を仕掛けられ、病的な妖女に変容してしまうのでした。さらに、顔回の守り役だったはずの五六までが妤のとりこになってしまいます。一方孔子は魯国の法務大臣として既得権を持つ家臣一族を制圧する政策を密かに進めているのでした。その過程で少正卯の弟子、悪悦の気まぐれな陰謀により、味方となるべき人物がたぶらかされ、戦乱の世を引き起こすきっかけがもたらされるという筋書きですから、これはもう次の巻を早く読みたくなります。
巻末にこれまでの登場人物のイラストと簡単な紹介があるので、頭で整理しきれなかった人間関係がすっきりしました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
酒見賢一
- 感想投稿日 : 2012年6月21日
- 読了日 : 2012年6月19日
- 本棚登録日 : 2012年6月21日
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