幕末の革命児と呼ばれる「高杉晋作」の波乱に満ちた生涯を、派手な部分を誇張しすぎずに、詩人になりたかった青年としての側面からも捉えているのが新鮮。
詩は、時代が時代なので口語訳がないと読めないけれど、情熱が伝わってくるのは著者の筆の力でしょう。
高杉晋作は破天荒な暴れん坊だったんでしょ、と思う方にほど読んでもらいたい。
実は、本を読むのが好きで、詩人になりたくて、親孝行しようと堅苦しい仕事に就いてみたりして(辞めてしまうけれど・・・)
そして、結核の身を削るように素人軍師として働き、それぞれタイプのまったく違う3人の女性に最期を看取られた人なのだと、知ってもらいたい。
絶版なのが本当に悔やまれる一冊。
以下、引用。
「時代の激しい渦に巻き込まれて、危険な行動に身をさらすことは決して本意ではなかったが、与えられた使命の前では武士らしく散る覚悟もできていた。少年時代からひそかに抱いた詩人として世に出るという夢は、もう捨ててしまっている。だが詩人の魂は持ちつづけ、晋作はそのようにいつも詩人だった。晋作の詩は、もはや死地に向かって進むみずからを激励するために、つむぎだされて行く進軍の譜であったかもしれない。」
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2011年6月19日
- 読了日 : 2011年6月16日
- 本棚登録日 : 2011年5月28日
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