また面白い題材がひとつ失われてしまった。
本書は月がなかった世界のみならず、地球の質量が小さい場合、地軸がより傾いていた場合、ブラックホールが近づいた場合など、
興味深い仮定から地球を再考するものであるが、
天文学・物理学専攻の筆者一人で書かれているため、専門外の部分への考察が甘い。
例えば生物については『非常に複雑である。ここから先は読者にまかせて、生態的地位について考えてみたいと思う。』と丸投げされる。
地学については『この世界の陸塊は巨大な超大陸を形成して固まっている。なぜなら地球の大陸もひとつの超大陸を形成していたからである。』と、常に移動していることも考えずに大陸は固定したものと考える。
進化については『酸素が少ないと肺が小さな小動物が生きていくのは困難だろう。』としながら『動物は物理的に大型になり、肺をふくらませる筋肉はより強力になる。』と、どういう進化を思い描いているのか意味不明になる。
こうも怪しい記載が多いと、専門の天文学の分野についても疑いの目を持たざるを得ない。
テーマは面白いだけに、残念ながらもったいない一冊。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年7月19日
- 読了日 : 2018年7月19日
- 本棚登録日 : 2018年7月19日
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