それをお金で買いますか――市場主義の限界

  • 早川書房 (2012年5月16日発売)
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公共哲学からの経済学(特に新自由主義)批判。

公共や生命や倫理に関わるもの。
例えば、スポーツや交通や生命保険。

そういったものが、お金によって売買されている。
野球のボールはサインされ、球場は名前が売られる。
生命保険では、死ぬ前に「自分が死んだら保険金を受け取れる権利」を他人に売ることで、崎に現金を手に入れる。

こういったことは、直接的には問題を引き起こさないけれど、何か嫌な感じを受けるのは確かだ。
著者はそれを「腐敗」「善の喪失」といった言葉で表現している。

しかし、現代世界の大きな問題のひとつは財政であり、財政維持のために公共的な「お金では買えないもの」は縮小し、次々に売りに出されている。
本書の指摘はもっともだけれど、「財政問題=前世代による前借り」をどう解決するのかについては提示されていない。

この点が解決しなければ、生活破綻という、倫理よりも直接的な問題に直面するのではないか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会と経済
感想投稿日 : 2012年8月25日
読了日 : 2012年8月25日
本棚登録日 : 2012年8月25日

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