長編「いちご姫」のみ読了。
<あらすじ>
公家の息女いちご姫は、敵方足利義政の使・窟子(うろこ)太郎に恋をしてしまう。出奔し盗賊に身を堕としながら、美貌と気の強さを武器に戦国末世をわたり歩く。
<感想>
・文体…短文を重ね、「!」を多用し、やたら文章の勢いが強い。美妙の造語かと疑いたくなるような間投詞が登場し、語注を見て驚くことしきり。
・ヒロイン…自己愛過多で気が強く貞操観念のうすい主人公は、現代以上に突き抜けた感覚の持ち主。こんな主人公にはお目にかかったことがない。
・構成・ストーリー…章回制。各回にきちんとクライマックスが用意されており、連続ドラマに仕立てられそうである。通俗的で波瀾万丈なストーリーとも相俟って、読者の期待をあおる。「大団円」の章名を裏切る、あまりにも衝撃的な結末には腰が砕けてしまった。
強烈な女主人公といい、奇想天外なストーリーといい、明治時代の古臭い作品と思ってかかると裏切られる作品。なんとなく舞城王太郎を読んだときの当惑を思い出した。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文学(一般)
- 感想投稿日 : 2012年11月11日
- 読了日 : 2012年11月11日
- 本棚登録日 : 2012年3月30日
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