久々のレビュー。
小杉健治の法廷ミステリーに最近ハマってます。
一度読んで気に入ると続けて他の作品も読み漁りがちです。
裁判員裁判制度が始まった頃。
留守中の認知症の老女が絞殺され、最初は息子が犯人ではないかと疑われたが
事件の捜査によりホームレスの男の犯行とわかり逮捕される。
このホームレスの男の裁判を、選ばれし国民に加わるのだけど
みんなそれぞれ事情があって、主人公らしき主人公がいないので主観が
コロコロ変わるのが感情移入しにくく、説明節になりがちでもったいない気が。
認知症の母親をもつ女性と、裁判員に選ばれたことにより会社を休まざるを得なくなったことで
大事な会議から外されてしまった会社員の男性が、この裁判の軌道を大きく変えるという
思いがけない展開に引き込まれました。
ホームレスの男は罪を認めているけど動機が違うのではないか。
本当は、なぜ殺したのか。
それを突き詰めていくストーリーの中で、親と子、家族の在り方、
この部分を織り交ぜていくことによって物語の厚みと奥行きが増して感慨深い作品となっている。
これだから、小杉作品は次々と読みたくなる。
ちなみに今まで読んだ中では水木弁護士シリーズが一番好きです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小杉健治
- 感想投稿日 : 2019年12月12日
- 読了日 : 2019年12月12日
- 本棚登録日 : 2019年12月3日
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