19世紀末の作品ですが、今読んでも全く遜色のないサスペンス。なかなかの長編ですが、最後まで飽きない、というか、結末まで読まずに放り出すなんてできない面白さでした。
物語は終始、ドラキュラ伯爵に関わってしまった人々の日記と手紙という形式で綴られる。だから、人間側から見た状況や人間側が知る断片的な情報しか語られない。普段読み慣れている小説は「会話文」と「地の文」で構成されていますが、この本には神の目線で登場人物達の知らない状況も説明してくれる「地の文」というものがないのです。ですから、読み手は登場人物(人間側)と一緒になって,ドラキュラの狙いと策略を探り,対抗し、阻止しなければならない。この人間側が書く日記というスタイルが,ドラキュラの謎めいた怖さを際立たせているようです。でもその怖さが妙に魅力的なんですよね〜。そしてストーリーは、ゴシックホラーな雰囲気のなか、かなり壮大な展開になっていきます。
ドラキュラっていろんなところに出てくるけど,元々ははどういう話なんだろう?ってことで読み始めましたが,こんなに面白いとは!生きてるうちに、原書で読了できてよかった…と思った一冊です。田舎の漁師の訛った英語は何を言ってるのか全くわからず,翻訳本をカンニングしてしまいましたが…
いつか、トランシルバニアのあの城に行ってみたいものです。
ちなみに、ドラキュラ映画は数々ありますが、フランシス・コッポラ監督版はかなり原作に忠実です。原作にない恋愛要素が足されたり、端折った部分もありますが。キャストもゲイリーオールドマン、ウィノナライダー、キアヌリーブスと、豪華ですよ。
- 感想投稿日 : 2023年8月11日
- 読了日 : 2023年8月11日
- 本棚登録日 : 2023年8月11日
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