凛とした女の子におなりなさい: 日本人らしいひと

著者 :
  • 暮しの手帖社 (2008年9月1日発売)
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感想 : 20
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阿久悠さんの詩集ですね。
暮しの手帖に寄せられた、九篇の詩です。
「日本人らしいひと」のテーマに沿った傑作ですね。
阿久悠さんは、ヒット曲の作詞で、知られていますが、詩集を目にするのは初めてです。
どの作品も、阿久悠さんの気持ちの大きさを感じさせてくれる趣のあるものです。
詩篇には、阿久悠さんのコメントも寄せられています。

  窓辺で本を読む親

 どんな親がいい親だろうね
 何でも許してくれるやさしい親か
 小遣いをたっぷりくれる甘い親か
 喧嘩の仇をとってくれる親か
 勉強しろとうるさく言わない親か
 いろいろ考えられるけど
 どれだろうね
 どれだろうね
 威張り返っているのも厭だし
 妙にへらへらしているのもご免だし
 世間に弱く家族に強いってのも
 迷惑な話だし
 どれだろうね
 どれだろうね
 そこで一人一人お前はどうだ
 何か思うところがあるだろう
 厭でたまらないところでも
 愛おしい何かでも
 どんな親だと
 説明しなくていいから
 これは厭 これは好き
 それだけでいいから言ってみなよ
 酒呑んで吠えるのは厭だね
 夫婦喧嘩は恥ずかしいね
 裸で人前に出るのは不作法だ
 そこで僕に順番がまわってきて
 親の好きなところはね
 本を読む姿だなと答える
 いいよ すごくいいよ
 窓辺の明るいところで
 親が真面目な顔で本を読んでるって
 何かぼくの親はものを考えたり
 他の人に敬意を払ったり
 そういうところが見えて
 いいよ すごくいいよ

すごく共感できる詩だと思います。
素直な気持ちがよく現れていて、呼び掛けるような言葉の響きはさすがですね。
詩篇の他に、阿久悠さんのエッセイもあり、都倉俊一さんの解説と阿久悠さんの奥さまの深田雄子さんのあとがきも、楽しいものでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 詩集
感想投稿日 : 2023年4月7日
読了日 : 2023年4月7日
本棚登録日 : 2023年4月7日

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