破滅の美学 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房 (2004年2月11日発売)
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本棚登録 : 54
感想 : 9
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これだけ体当たりで生きていても、実は繊細で、そして生命力はしだのようにしっかり根を張っているものだ。それでも突然ぱっと姿を消してしまったり。
必死に一人でがむしゃらに生きている人としての面白みもあり、バタバタ倒れていく組織中で生き残って上に立つようになった親分も(仁義なき戦いの山守親分のように)老獪というよりは、組織の存続のために下の命は切り捨てつつ、きめ細かい思いやりをたまに見せたりする。矛盾を孕んでいる人間は面白い

狂気の世界から帰ってこずに、どんどん勢力を拡大し最終的に数十人に襲われてなくなった人。
何度も刺客が送り込まれてもなぜか事前に気づいて、返り討ちに成功。そのうちの一人は放浪している義兄弟だった。しとめてから、自分のお金でお寺に永久供養を頼んだという。

殺すことは映画で見るほどあんなにさっぱり済まない。最期に凄まじい生命力を発揮して、周りが怖気ついてしまうこともある。また、一度人を殺した人は見た目ですぐ分かるくらい、精神的なダメージを被る。戦場でも初めて人を殺すと、生と死の境目がつかなくなり、死体から離れ難くなり傍でぼーっと煙草をふかすという光景がよく見られるそう。

これは本筋とは関係ないが、「親は子供の本質を変えることができない。子供は親の無意識の行動や発言に傷ついたり、そこから学習して成長するものだ」といった記述があり、本当にそうだなと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年5月15日
読了日 : 2022年5月15日
本棚登録日 : 2022年5月2日

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