欲望の資本主義2

  • 東洋経済新報社 (2018年4月27日発売)
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ガブリエルとセドラチェクの対談は話が難しすぎるのだが、いくつか理解できる主張があった。また、最初のコーエンの話は「なるほどね。確かに。」と納得するものだった。
特に、テクノロジーが進歩しているのに景気が低迷している理由に、失われた雇用の受け皿となる産業がないことをあげた。AIで仕事を奪われた人が、次に職を探すときは生産性の低い仕事しか残っていない。テクノロジーで生産性の向上の恩恵を受けるのは富裕層である。
こうしてテクノロジーの進歩は、富裕層はより生産性高く、中産階級は生産性の低い仕事に流れ、貧困層は変化なし、という現象を引き起こしているために、経済成長せず、景気が上向かないのだと。
農業から工業社会に移行しているときは、農家は工場へと、より賃金の高い仕事に就くことができた。つまり、工業が成長産業となり、農業から工業へと失われた雇用の受け皿が存在していたのだ。
今、私たちはテクノロジーが進歩、AIに仕事が代替されていくなかで、次なる成長産業への雇用を見いだせないでいる。だからといって、何の抵抗もなく時間が流れるように生産性の低い仕事に就くしかないのか。いや、それは違う。私たちはテクノロジーが常に日進月歩で進化する産業だからこそ、その産業の知識やスキルを身に付けて、挑戦していくことが、求められるのではないか。
資本主義は、いや、今の資本主義によって成り立つ社会システムが変わらない限り、格差は広がる一方だ。それを甘んずることなく、自ら未来への可能性を切り開いていかねばならいのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年12月14日
読了日 : 2020年12月14日
本棚登録日 : 2020年12月9日

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